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経営者の信頼を勝ち得るために -変化の時代における銀行員のコミュニケーション術-

経営者の信頼を勝ち得るために―変化の時代における銀行員のコミュニケーション術

著 者:澁谷 耕一
価 格:¥1,890
発売日:2006/01

法人営業担当者に勇気と希望を与える1冊

減少する法人貸出金マーケットの限られたパイを奪う激戦が各地で展開されている。現場の法人営業の推進担当者は、本部から収益目標の必達を厳命され、融資推進と手数料獲得に一社でも多く訪問しろと、上司から尻をたたかれる毎日にへとへとになっているのではないだろうか。たんなる「金融商品のセールスマン」になってしまっている現状に疑問を抱きながらも、目先の計数目標に追われ、自分なりの成長を感じられる働きがいを見出せず、悶々と悩んでいる若手も多いかもしれない。銀行や金庫、信組に入ったころの、企業の成長を手助けし、ひいては地域社会の発展に貢献したいとの高い志も薄まって、いつの間にか内向きで変化に対して慎重な「審査し分析し批判する」態度で、取引先企業をみるようになっているのではないか。

本書は、「一人一人の銀行員が目線を高くもち、自らの強みを発揮し、企業経営者のよき相談相手として将来を語り合う関係を目指す」ために書かれたもので、経営者の視点と銀行員の視点の双方を備えた「複眼的視点」をもって、企業の課題を発見し解決できる最高のコンサルタントを目指せという提言と、経営者から相談したいと思われる銀行、銀行員になるためのエッセンスが詰め込まれている。

著者は、旧日本興業銀行で、ニューヨークや香港での海外勤務から、コンサルティング業務、M&Aや海外投資アドバイザリー等の投資銀行業務、法人新規開拓に至るまで、さまざまな部署を経験し、関連証券会社に移ってからは公開営業部の部長としてIPO業務 も担当するなど、一貫して法人営業の現場を歩んできた。

2002年5月に現在の経営コンサルタント会社を起こし、いまでは、上場企業を含む100社を超える経営アドバイザーを務めている。また、有力な地方銀行や信用金庫のトップに招かれ支店長会議などでもしばしば講演されている。当行でも昨年二度にわたり法人営業担当者の研修会にお招きしご講演をいただいたが、いずれも大変好評だった。

本書では、銀行員は自らの専門性を高めるとともに、自分独白の発想力や構想力を高めることが必要だとして、「エコノミスト」「アナリスト」「コンサルタント」の三要素を兼ね備えるべしと強調している。そのうえで、経営者との信頼関係づくりのベースとなるコミュニケーション能力の大切さとその能力の磨き方、即実践に役立つ経営者との面談の効果的な進め方など、著者の豊富な現場体験に裏打ちされた具体的アドバイスが紹介されている。日ごろ若手の育成に熱心に取り組まれているマネジメント層にとっても示唆に富んだ内容である。

現在、どの銀行においても、日々の法人営業活動が金融サービスの提供や財務診断といった、企業経営のなかまでは深入りしない、いわば外からのアプローチにとどまっているのではないだろうか。取引先のなかに入り経営者のよき相談相手となって共に夢を語り、企業や地域社会の発展に貢献するといった、銀行員に期待される法人営業の本来の姿を目指す、すべての金融マンに一読をお薦めしたい。

(八十二銀行コンサルティング営業部長 臼井俊行氏)