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コーポレートガバナンス入門

コーポレートガバナンス入門

著 者:栗原 脩
価 格:¥1,680
発売日:2012/10/15

著者紹介
1968年 東京大学法学部卒業
同年 株式会社日本興業銀行入行
同行 取締役証券部長、
興銀証券株式会社 常務取締役などを経て
2003年10月 弁護士登録
このほか明治大学法科大学院 特任教授、信州大学法科大学院 非常勤講師(いずれも現任)などを務める

本書籍は第1章から第5章までで構成される「海外編」と第6章から第10章までで構成される「国内編」の2部構成となっている。
海外編では、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカについて、各国の法律を含め、コーポレートガバナンスの歴史や傾向について書かれている。
国内編では、監査役や社外取締役といった役職に注目し、存在意義や役割、今後のコーポレートガバナンスのあり方について著者の意見が述べられている。
コーポレートガバナンスに関する書籍は他にも存在するが、本書の特徴は、元銀行員である著者の視点で書かれた、「銀行のコーポレートガバナンス」について述べられていることである。その中に、銀行経営の目指す姿について書かれている。

株式市場の評価を意識すればするほど利益志向にならざるをえないことになるが、銀行は公共性の強い業界であることから、健全性を重点に置く必要がある。健全性に重点をおいたとき、市場からは必ずしも高い評価を得られないかもしれないが、ここで重要なのは時間の要素である。短期的には収益力において相対的に見劣りすることから市場の評価で劣後することがあっても、中・長期的には景気循環のサイクルを経て評価を確立するという展開も十分にありうる。経済に変動は避けられないから、賢明な銀行経営者としてはむしろこのような経営スタイル、すなわち「持続力のある辛抱強いプレーヤー」を目指すべきであろう。

これは経営陣にのみ向けられた言葉ではなく、銀行で働く行員一人ひとりにも言えることである。自身のノルマという短期的な目標を達成することだけを考えて行動している銀行員が多くいるが、それでは中・長期的には銀行にとってはもちろん、個人にとっても不利益を与えることとなり、銀行の健全性の低下を招くことになる。

コーポレートガバナンスと聞くと経営陣などの一部に限られた話であると捉えがちであるが、企業で働く人間すべてに関わる問題である。コーポレートガバナンスについて理解を深めたい方はもちろん、一般企業、金融機関等の役職員にとって必読の書である。

(高橋 2013/03/21)