TOP > 記事・コラム > 地方銀行フードセレクション2019を振り返るの記事

地方銀行フードセレクション2019を振り返るの記事

リッキービジネスソリューション株式会社 取締役 宮下 祐輔

2019 年はついに出展社数が1,000 社を突破した地方銀行フードセレクション。近年、全国の商工会・商工会議所(以降、 商工会等)経由での出展が大幅に増加しています。また、商工会等を経由して出展する事業者の満足度は総じて高い印象を 受けます。その事由は商工会等を経由して出展することにより、事業者にとって複数のメリットがあり、商談成約率が高ま る傾向にあるからだと考えています。今回は「商工会・商工会議所から出展するメリット」を紹介しながら、地方銀行フー ドセレクション2019 について振り返りたいと思います。
商工会・商工会議所から出展するメリットとは

出展コストを軽減

地方銀行フードセレクションに出展する場合、事業者には1 小間あたり25 万円(税抜)の出展費用が発生します。しかし、出展にかかる事業者の実質的な負担はこれだけではありません。商談会に持参するサンプル費をはじめ、商 品を保管・展示する冷蔵ショーケースなど、様々な費用が加算されます。遠方の事業者にとっては旅費交通費も大き な負担です。

そこで、伴走型支援をはじめとした補助金制度を有効活用すれば、出展費用の全額或いは2/3などを補助金で賄うことができます。また、地方銀行フードセレクションでは、商工会等が出展申込者となって団体出展する場合には、 1小間内に2事業者まで(○○商工会A社・B社)の出展を認めています。その場合、2事業者で出展費用を按分すれば、さらに出展費用を抑えることができます。

経営指導員のサポート

地域の事業者にとって、商談会参加のハードルは金銭面だけではありません。大企業と異なり、地域の事業者は限られた人数で事業を営んでいるケースがほとんどです。商談会に参加すると決まれば、チームを組んで準備を進め、 当日会場に大量のスタッフを送り込める大企業とは事情が異なります。地域の事業者にとって、事前の準備をはじめ、当日の人繰り対策は重要なポイントです。地方銀行フードセレクションは、各主催銀行のスタッフが事業者をサポートする点が特徴の一つですが、ここに商工会等の経営指導員のサポートが加われば、事業者にとってこれほど心強いものはないでしょう。

事業者を孤立させない仕組み

地方銀行フードセレクションでは、一商工会等から複数の事業者が出展する場合、間仕切り(隣接ブースの壁)を設けないブース作りを推奨しています。なぜなら、商工会等を経由して出展する地域の事業者同士は顔馴染みであ り、志を同じくする仲間です。同じ商工会から複数の事業者が出展するのに、間仕切りを作って事業者間を遮断してしまうのは非常に勿体ないことだと思います。間仕切りを取り払うことによりブース内の人の行き来が自由になります。

2小間、3小間など複数の小間を連結させれば、ブースに開放感が生まれます。また、ブース全体の横幅が長くなるため、バイヤーへもアプローチしやすくなると考えています。

商談会に初めて出展する事業者や代表者一人で参加しなければならない事業者などは商談会当日まで不安でいっぱいだと思います。そのような場合に事業者毎に区切られたブースで商談会を迎えると、事業者が孤立し、全く成果を 上げることができない可能性も十分にあります。そうなると、事業者は「商談会には二度と出たくない」と思うでしょう。そのリスクヘッジをするためにも、商工会等を経由して団体出展する意義は大きいと考えています。

理想は事業者同士の相互扶助

商工会等の経営指導員の方々にご提案していることがあります。それは事業者の組み合わせです。当然、出展意欲の高い事業者を優先すべきですが、商談会経験豊富な事業者と、商談会に初めて出展する事業者や経験の浅い事業者 を混ぜて参加していただくと、地域の事業者全体の底上げができると考えています。そして、ここに間仕切りを設けないブースを作ることの大きな意味があり、商工会等として地方銀行フードセレクションに出展する大きな価値があります。

間仕切りを設けないブースで事業者が共同出展した場合、事業者同士の相互扶助が生まれると考えています。商談会に不慣れな事業者はすぐ側で次から次へと名刺を獲得し、商談を進めていく事業者を見て、どのようにすれば良 いのかを学ぶことができます。いくら魅力的な商品を作っていても、商談会に出展すれば、すぐに新たな販路開拓ができるほど、商談会は甘くありません。商談会で多くの実績を上げる事業者もそのレベルに至るまで多くの苦労を重ねています。そのノウハウを真横で且つ実践形式で学ぶことができるのは、地方銀行フードセレクションの団体出展ならではだと思います。

また、商談会の経験豊富な事業者がバイヤーを呼び止め、自らの商品説明をした後に、そのバイヤーが隣の事業者(商談会に不慣れな事業者)の話を聞いていくケースも往々にしてあります。地域の事業者同士が連携すれば、その力は 1 +1=2ではなく、3 にも4 にもなり、商談成約率が上がることは間違いありません。

経営指導員同士の交流も増加

最後に、ここまで商工会等の出展が増加すると、経営指導員の方々にもメリットがあるようです。商談会当日は全国から多くの経営指導員の方々が事業者のサポートに来ていただいているため、会場内では他地域の経営指導員同士 の交流が深まり、情報交換が行われています。実際、昨年地方銀行フードセレクションに初めて参加した経営指導員の方から「全国からこれほど多くの商工会や商工会議所が出展していることにとても驚いた。おかげで色々な地域の経営指導員の方々と情報交換ができて、我々としても大変勉強になった」という有難いお言葉も頂戴しています。

最多出展地域は三重県(百五銀行・三重銀行)

2019 年の地方銀行フードセレクションに出展した商工会・商工会議所をマップにしたところ、商工会連合会が3団体(神奈川県、山梨県、京都府)23社(13小間)、商工会が52団体151社(120小間)、商工会議所が22 団体75社(61小間)となり、合計で77団体249社(194小間)となりました。

特に出展率の高い地域は、東海エリアの3県(岐阜県、愛知県、三重県)と佐賀県です。昨年は申込書を受付している段階から三重県の商工会等の出展が非常に多いと感じていました。三重県から商工会等の出展事業者数が大幅に増加した背景には、地方銀行フードセレクションの募集開始に合わせて、地域の主催銀行である百五銀行と三重銀行が商工会等にご案内いただいていたからだと聞いています。ちなみに、次に多い佐賀県(佐賀銀行)も同様の取組みを行っていただいています。

※金融機関ドットヨム38号10ページに記事が掲載されています。