千葉銀行 竹山正頭取インタビュー
成長する千葉銀行の市場
近年成長著しい千葉県を市場とする千葉銀行の頭取に、千葉銀行の強み、顧客との距離感を縮めるための取組みや秘訣について、リッキービジネスソリューション澁谷耕一がお話を伺いました。
1.成長する千葉県、株式市場でも注目される千葉銀行
(1)IRを積極的に展開
<澁谷>
リッキービジネスソリューションの社員は12名なのですが、そのうち4名が千葉に住んでいて、千葉県にはすごく縁があります。
<竹山頭取>
ちばぎん総研が作成した「千葉県のピンきり物語」によると、千葉県は生活現代化率(パソコンやデジカメ、ハイテク機器の普及率)が全国トップ、テーマパークの入場者数も全国一位なのです。若い人にとって、魅力ある土地ということでしょうね。頭取に就任して約1年3ヵ月になるのですが、先日は株価がもうすぐで1000円にとどくところでした。(インタビュー日 2005/09/29時点)
今年の2月・3月、ヨーロッパへIRに行きました。自分の責任での決算が終わってから行った方が良いのではないかという意見もありましたが、決算を待たずに行ってきました。7月はアメリカへも行き、10月中旬にはアジアへ行く予定です。平成17年3月末時点で当行の外国人持ち株比率は20%弱でしたが、半年経った今、私の予想では(外国人持ち株比率は)20%を超えていると思います。今後は個人株主の裾野をもっと広げていきたいと考えています。最近企業訪問時や宴席などで、冒頭に「頭取ありがとう」と言われるのです。何を感謝されているのかと思ったら、当行の株で儲かったのですね。我々としては特に地域の個人投資家の皆さまに、当行株を持ち続けてもらいたいところなのですが・・・。
(2)個人投資家や機関投資家との情報交換
<澁谷>
弊社も松井証券と組んで個人投資家向けのIR説明会をやっています。同じネット証券でも、イートレード証券やマネックス証券などはデイトレーダーが多いのですが、松井証券は60~70歳代の顧客が多く、金融資産をかなり持っている方が多いのです。団塊の世代の前で、退職金もちゃんともらって住宅ローンも払い終わり、平均約2,500万円の運用資産があるのです。説明会の募集もネット上のみでしたが、このような年代の方が多く応募してくださいました。
<竹山頭取>
確かに当行OBを見ても、現役時代にはパソコンを触っていなかったですね。ところが60歳で定年を迎えてまず何をするかというと、パソコン教室に行くのです。時間とお金がありますから、その年代の顧客が多いというのはとても理解できます。
<澁谷>
説明会に参加する企業の社長には、「原稿を見ずに、普通に会社紹介でPRするように話してください」とアドバイスしています。すると聴衆である個人投資家からはとても評判が良く、その後実際にその会社の株を購入する方が多いのです。株主も参加することもありますが、社長はこういう人なのだ、ということが伝わり、その後じわりじわりと株価が上がったりします。
<竹山頭取>
当行も、半年に一度はアナリスト等向けの説明会をしていますが、それとは別に、毎年1月から2月にかけて県内各地でちばぎん総研とのタイアップで講演会を行っています。ちばぎん総研の会員が現在約6,000先で、その会員向けに講演を行い、講演後懇談の時間を持ちます。講演は私が決算説明や当行のPRで20~30分、ちばぎん総研の社長が経済問題について約40分ですが、この時難しいのは、参加者は全員が株主とは限らず、融資先等も含まれているということです。
全員が株主であれば、いかに儲かったかという話で良いのですが、融資先にとってみれば、そんなに儲かっているのなら金利を安くしろ」となってしまいます。よって説明が中途半端になってしまうのです。
<澁谷>
どこの会社もそれが課題だとおっしゃっています。ファンドマネージャーやアナリスト達とは違い、個人だといろんな人がいるので変に突っ込まれるのではないかと恐れているのです。しかし株主総会ではないのですから、答えないものは答えない、質問なしにする、などすればよいのです。
しかし、良い質問も出てくるのです。
しかし、良い質問も出てくるのです。
<竹山頭取>
当行も個人投資家向けのIRを強化しています。当行の株主に占める個人投資家の比率は十数パーセントですが、これをもっと増やしていきたい。
<澁谷>
千葉銀行に口座を持っている、住宅ローンを借りている、というお客様が株主にもなってくれると、安定した長いお付き合いができるのではないかと思います。
(3)目標を達成するための執念、実力、組織力
<竹山頭取>
今年の株主総会で、「株主に対してどんなポイントを付けてくれるのか」という質問が出ました。遊園地や鉄道なら優待券を付けられますが、銀行の場合は、株主には貸出の金利を安くする、または預金の金利を高くする、というのもおかしいですから、一生懸命業績を向上させて株価を上げることが、株主に対する一番の還元ではないかと思っています。
ヨーロッパにIRに行ったときには、「配当が低い、過剰資本ではないのか」というような質問が多く出ました。また、「アメリカの地方銀行と同じように何故規模の利益を追求しないのか」という話もありました。
しかしアメリカに行くと、配当金は要らないとは言わないが、むしろ「たくさん儲かった分をどう使うのか?」「明日の営業力を強くするためにどう使うのか?」というような話が出るのです。そこで我々の成長戦略を説明すると納得してもらえました。彼らは高配当を望むわけではなく、キャピタルゲインを期待しているのです。
しかしアメリカに行くと、配当金は要らないとは言わないが、むしろ「たくさん儲かった分をどう使うのか?」「明日の営業力を強くするためにどう使うのか?」というような話が出るのです。そこで我々の成長戦略を説明すると納得してもらえました。彼らは高配当を望むわけではなく、キャピタルゲインを期待しているのです。
成長戦略を説明する中で、銀行はみんな同じなのにどうやって差別化するのか、と言われます。確かに銀行の戦略にはそんな突飛なものはありません。当行の場合は、目標を掲げてそれを実現できるかどうかが翌年・翌々年の成績につながっているので、その目標を達成するための執念や実力、組織などをアピールしています。 投信及び年金保険については、この上期だけで42億円の手数料収入がありました。これは地銀でトップです。投信残高及び年金保険販売額累計とも横浜銀行を抜き地銀でトップです。デリバティブが約11億円。年間を通せばこの合計で約100億円が見込まれます。
またシンジケートローンやM&A、私募債などの手数料収入は年々上がってきていて、合計で約5億円になります。ストラクチャードファイナンスを6名がやっていますが、半分は中途採用者です。
当行では、中途採用者はほとんど辞めていません。ということは、甘いのかな?とも思うのですが・・・。
千葉県というのはいろんな地方から人が集まってきているので、"異文化"というか外からの人に対する受け入れの用意ができているのですね。外部から来ても全てのみ込んで受け入れていく。いつのまにか当行の文化に引きずり込まれているのです。しかしそれが当たり前だと思ってはいけないし、違う組織のいろんな良い面を持って当行に来ているのだろうから、気がついたことは遠慮せずどんどん指摘するようにと言っています。
当行では、中途採用者はほとんど辞めていません。ということは、甘いのかな?とも思うのですが・・・。
千葉県というのはいろんな地方から人が集まってきているので、"異文化"というか外からの人に対する受け入れの用意ができているのですね。外部から来ても全てのみ込んで受け入れていく。いつのまにか当行の文化に引きずり込まれているのです。しかしそれが当たり前だと思ってはいけないし、違う組織のいろんな良い面を持って当行に来ているのだろうから、気がついたことは遠慮せずどんどん指摘するようにと言っています。
2.お客様との強い信頼関係について
<澁谷>
投信や年金保険などでたくさん手数料を取れるのは、やはり県民の方との信頼関係が構築できているからではないでしょうか。
<竹山頭取>
まさにその通りだと思います。当行が他行と比べて特徴的なのは、投資信託の窓口での販売比率が非常に高いことです。件数で6割を超え、金額でも4割を優に超えています。営業担当者はそんなに多く担当を持っているわけではないので、得意先を一巡すると件数は止まってしまう。しかし、窓口は入れ替わり立ち替わりやってくるので、もうそろそろ限界だろうと思っていても毎月着実に実績上がってきているのです。
窓口が強い、それはつまりリレーションシップバンキングで、お客様との信頼関係があるからです。また、証券会社の顧客は短期保有が多いですが、銀行では長期保有が多いですね。当行では3ヵ月に1回配当がある投信を3商品揃えています。分配月がそれぞれ違うので、例えば3,000万円ある人が1,000万円ずつその3商品に投資すれば、結果として毎月分配となります。それで毎月約10万円の分配金を得ることができれば、お年寄りなどにはとても喜ばれるのです。人間は、預金から引き出して減っていくことにとても抵抗があるのです。ところが分配金などが毎月知らぬ間に振り込まれていたりすると、「とても良いものを紹介してもらってありがとう」となるのです。
毎月自分で預金を下ろして減らしていくのは寂しいのです。お客様には定期的に書類も届いていますし、元本変動のリスクがあっても、基本的には長期保有であり、毎月配当も出ていることから、お客様から支持されているのではないでしょうか。
<澁谷>
お客様の心理ですね、通帳を見たら、毎月お金が入ってくるのは嬉しいですね。
<竹山頭取>
お客様も勉強されていますから、元本が変動することはわかっています。
お客様からは毎月分配型商品のニーズが高いので当行も取扱いを検討したのですが、3ヵ月に1回の商品を3つ揃えることで、リスク分散しつつ結果的に毎月分配が可能となるようにしています。
お客様からは毎月分配型商品のニーズが高いので当行も取扱いを検討したのですが、3ヵ月に1回の商品を3つ揃えることで、リスク分散しつつ結果的に毎月分配が可能となるようにしています。
3.千葉県の風土や特徴について
<澁谷>
千葉の県民性、地域の特性は?
<竹山頭取>
木更津から南の県南はのんびりしていて戦わない、争いを好まない県民性です。重工業もあり、農業・漁獲量も全国2位で全てが揃っています。また、3大海女集落のひとつがあり海女さんの数が多く、館山市あたりでは、ひと夏に2ヵ月ほど潜ると1年間生活できてしまうのです。日本のリビエラと言われる鴨川をはじめ観光地としても日本一です。豊かな天然資源に恵まれていながら、大きな川や山がなく風水害もないことから、千葉で生まれ育った人々は特にのんびり型です。 逆に県北は、一生懸命に自分をアピールし前向きにやっていく、攻撃型です。ディズニーランドもあり娯楽施設も充実しています。
新築住宅着工の前年比増加率は全国2位で、少子化・人口減が進む中、千葉県は今後10年間は人口の増加が見込まれています。その理由は他県からの流入が期待できるためで、つくばエクスプレスの開業で千葉県内の5つの駅周辺には、今後10年間で約10万5千人の人口が集中し、約3万3千戸の住宅が建つ、と予想されています。まだまだ発展の余地がある地区であり、そのため競争も激しくなっているのです。
4.ワンパットOKの距離感を大切に
<澁谷>
メガバンクや信用金庫に負けない、他行と違う千葉銀行の強みとは?
<竹山頭取>
ゴルフで例えるなら、メガバンクとお客様の距離は「ドライバーの距離」、当行とお客様の距離は「ワンパットOKの距離」。メガバンクに対する強みはこの距離感です。他の地元の地銀・信金に対しては、「フェイストゥフェイス」という面ではお互い同じだけれど、海外店舗を持っているということが強みになっています。ニューヨーク、ロンドン、香港に支店が、上海に駐在員事務所があり、海外への進出支援もできます。
なんだかんだ言っても、金融の最前線の様々なことは海外から来るのです。その面で、我々はメガバンクに負けないノウハウを持っており、他の地銀にはできない、差別化ができているのです。例えば「千葉県版CLO」のスキームは当行が独自に作成し、そのほとんどを当行が販売しました。また、メガバンクから当行へお取引を移していただくことがありますが、そのお客様は「海外との絡みについても地銀で大丈夫なのか?」ということを一番心配しておられます。
しかし当行には海外店舗とノウハウがありますから問題ありません。お客様との「フェイストゥフェイス」の近い距離感、そして海外店舗があることによって金融スキルが高くなっているのです。私は昔から「メガバンクにできて当行にできないことはない」と言っています。あとは人間のすることですから、お客様と真剣に話し合い、まず当行に一番最初に相談に来ていただけるような態勢を取っておかなくてはなりません。いくらスキルが高くても、そこを油断し、相談に来ていただけなくなってしまってはどうしようもありません。
5.人間関係はホットに、ビジネスはクールに
<澁谷>
千葉銀行の行風や雰囲気、お客様に対する気持ちなどは?
<竹山頭取>
当行は何でも相談できるなど親しみやすく、お客様に身近な銀行で、地域のお客様からの評判は良いと考えています。私はいつも「人間関係はホットに、ビジネスはクールに」と言っています。あくまでも基本は人間関係、これが逆になってはいけません。銀行も言いたいことを言わなくてはいけないし、そのために日ごろの人間関係をきちんと築いておかないと、逆にお客様とのコミュニケーションがとれなくなってしまいます。
<澁谷>
私も普段御行の方々と接するとき、ざっくばらんで親しみやすい印象を受けていましたが、そのような雰囲気が全体の行風の中にあるのですね。
<竹山頭取>
私自身がいろいろなお客様と接していますし、皆いろいろ言ってきます。やはり皆トップの姿を見て育ちますからね。自分で言うのもなんですが、「最近千葉銀行はみんな明るく前向きになったね」「営業もしつこくなったね」という声をよく聞きます。みんないろんなことを考えているのです。考えている人をつぶすのではなく、好きなようにやってほしい。だからみんなのびのびと生き生きとしています。そして当行では昔から、やると決めたことにはものすごいパワーがあります。何か一つのことに特化するということが得意なのです。ただし、過去の不良債権への反省を踏まえ、融資については丁寧な審査を心掛けてきました。しかし、企業業績の回復、金融商品の多様化により、審査の見方、あり方も変わってきています。審査も見直さなければと考えています。
6.とにかくスピードを速めること
<竹山頭取>
今私が一番力を入れているのが、とにかく審査スピードを早めることです。審査部にメスを入れてプロジェクトチームを作り、徹底的にやっています。本当に審査に必要な書類は限られているので、全部一覧表にして埋めていく、要らないものはどんどん捨てていく、など、だいぶ固まってきました。
<澁谷>
他の地銀でお話を伺っていると、「営業現場は頑張っているが審査にダメだと言われてしまうので最初から諦めてしまう」ということを聞きます。審査の壁というのがものすごくあり、経営者にとってみればイエスかノーかを言ってもらえればまた次に進めるのですが、1ヵ月も経ってから「審査部からノーになりました」などと言われると時間の取り返しがつかないことがあるのです。
<竹山頭取>
そうですね。私は常に会社を研究して、とにかく判断を早くしろと言っています。別に全部のお申込みに対して取組む必要はないし、できないならできないで早く返事をしなくては。私も商人の息子ですから、お金が必要で申し込んだのに直前になってダメだといわれたらどうにもならない、まだ余裕を持って言われたら、商人はそれなりに自分で考えてやっていますから別の方法で凌げるのですが、サラリーマンにはそれが分からないのですね。とにかく口をすっぱくして早くする方法を考えろと言っています。
私が若い頃から言っているのは、「社長やりますよ。ただし今から5つの質問に答えてください。1つめ・・・できる、2つめ・・・できる、3つめ・・・できない、4つめ・・・できる、5つめ・・・できない。」すると社長は「悪かったね。じゃあ今度は全部できるように頑張ってくるからさ。」と。そうなると「今回はうちはやりたいけど社長の方ができないなら仕方ないですね。」となる。こちらからは断っていないし、その社長はまた次までにできなかったことをクリアしようと頑張ってきますよね。
<澁谷>
銀行は、審査的にあそこはダメだ、ここはダメだと言ってから入る。今頭取がおっしゃったのは、「やりますよ」と言ってから「だけど」と入る。銀行員は逆になってしまっているのですね。「だめだ。でもがんばります」ではだめなのです。
<竹山頭取>
その通りですね。当行でもそれが大きな問題で、根本的に変えなくてはなりません。これまでも何度かそう言ってきましたが、決断がつかなかったのですね。それはトップの決断であり、私が不退転の決意で行うという決断をするかどうか、なのです。つい先日も「スピードが遅すぎるのではないか」という話をしていたところです。
またある案件で、「与信は可能。ただし、その裏付資料がなければ、融資の判断は行えない。」と言うのです。確認が取れて間違いなければ審査を先行し、裏付資料が届いてから融資を実行すればいいものを、資料が届かなくては審査もできないなんて、そんな話はありません。お客様が求めているのは、融資をしてくれるかどうかなのです。
このような場合、確認資料を微求後に実行することと、条件を付けて決裁してあげればいいのです。そうすると審査側は、「条件を守らないまま実行されるのは困る」と心配します。しかし、条件を守らずに融資としてしまったのなら、それはもう審査の問題ではないし、はっきりとした処罰をすればいい。審査には関係ないのです。倫理観の問題と審査とは別問題なのです。
<澁谷>
弊社が企業からよく聞く銀行への不満は、「融資を断られた。なぜかと聞くと"本部がそう言ったから、審査部に認可されなかったから"と。担当者も理由を分かっていないため、自分たちはどうしたら借りられるのかが分からない。ダメならダメで言って欲しい。」ということです。理由が分かれば、企業経営者はそれを解決するために頑張ろうという気持ちになりますし、変なクレームや不満にはならないと思うのです。
<竹山頭取>
私が若い頃、支店の審査をしていたとき、たとえ融資を断ったとしてもお客様に誉められていました。「あなたのいいところはすぐに断ってくれる、そしてその理由も言ってくれることだ。」と。
7.銀行員は良き相談相手になってほしい
(澁谷)
今、お客様と接していて感じることは何ですか?
<竹山頭取>
お客様が最も銀行に求めているものは、我々に良き相談相手になってほしい、ということですね。支店長によってはお客様の前にまったく出てこない人もいますが支店長自らがトップに会い、よく話を聞いて欲しい。とにかくお客様の話を徹底的に聞くのです。最近はお客様も明るくなりました。以前は「困った、困った」でしたが、最近は「ぼちぼち」と言うのです。ぼちぼちというのは良いことです。景気も少しずつ良くなってきているように感じます。
<澁谷>
相談相手になってもらいたい、自分たちの事業をより深く理解してほしい、と企業経営者たちは思っています。ところがメガバンクの支店長などからは、決算報告に行こうとしても「忙しいから来ないでくれ」と言われてしまう。しかし誰かに相談したい。そういうときに、銀行員はステイクホルダーとしては最も適した存在なのです。
<竹山頭取>
私は、支店長や部長たちに、「法人に対しては決算書をもらったときが勝負だ」といつも言っています。決算書をよく見て「すごいですね、前年より売上が上がりましたね、前期はよく頑張りましたよね、これだけ売り上げれば今の設備では追いつかないですよね、設備を増やさなくてはいけませんね、機械を買おうと思っていらっしゃるなら、うちがお手伝いをさせていただきます」などと話せるようにしておく。そのためにはしっかり勉強をしておかなくてはなりません。
会社にとって決算書は通信簿のようなものです。決算書をもらっても中身を全く見ずにすぐ鞄の中に入れてしまったとします。そしてその後、他行の気の利いた担当者が同じものを渡されたときに中身を見て「すごいですね」と先ほどのような話を始めたら、もうこの時点で他行の勝ちなのです。「お客様の前で決算書を開ける勇気を持とう!」と言っています。
<澁谷>
そうですね。経営者にとってみれば、良い決算書は見てもらいたいし誉めてもらいたいものです。だから、営業というのはそんなに難しくないだろうと言っています。自分の子供が「通信簿良かったから見て!」と持ってきたのにちゃんと見なければその子はやる気を失ってしまいます。
<竹山頭取>
要は自分に関心を示してくれるかどうか、なのです。
<澁谷>
そうですね、私も常々同じことを言っています。私は、銀行を辞めて自分自身が経営者となり、経営者とお付き合いをするようになってからますますそれが分かるようになりました。誰も経営者を誉めてくれないのです。成績表である決算書を見て「社長頑張りましたね、すごいですね」などと言われるとものすごく努力が報われたような気がしますし、「ここはどういう要因で増えたのですか?」などと言われると、どんどん乗り出して話したくなってくるのです。しかし、こちらは話をしたいのにまったく興味を示さず、「エレクトロバンキングの契約を・・・」なんて話を始められてしまったら、がっかりしてしまいます。
<竹山頭取>
自信のない人は見ないですね。勉強をしていないから。
その会社について常日頃考えておく、そして付属明細書を見て「新しいお客様が増えましたね」なんて言えるようになればもう完璧ですよね。そのようなことを分かっていれば大丈夫だ、と私は言い続けています。
その会社について常日頃考えておく、そして付属明細書を見て「新しいお客様が増えましたね」なんて言えるようになればもう完璧ですよね。そのようなことを分かっていれば大丈夫だ、と私は言い続けています。
<澁谷>
頭取のお話を伺って、御行の強みがよく分かりました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
株式会社 千葉銀行 -会社情報-
本店所在地: | 〒260-8720 千葉県千葉市中央区千葉港1-2 |
---|---|
電話番号: | (代)043-245-1111 |
従業員数: | 3,787人 |
総資産: | 8兆6,987億円 |
預 金: | 7兆5,940億円 |
資本金: | 1,210億円 |
自己資本比率 (国際統一基準) 単体10.88% 連結11.16% ※諸計数は原則として単位未満を切り捨てのうえ表示しています。 |
(2005/09/29 取材 | 2005/11 掲載)