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日本政策金融公庫 代表取締役総裁 田中 一穂 氏 インタビュー

民間金融機関との連携と事業承継支援を強化

聞き手:リッキービジネスソリューション株式会社 代表取締役 澁谷 耕一

 平成29年12月、田中一穂氏が日本政策金融公庫の代表取締役総裁に就任しました。田中総裁は就任以降の2 年 間で「民間金融機関との連携」と「事業承継支援」に積極的に取り組まれています。今回は田中総裁にインタビュー を実施し、日本政策金融公庫のこれまでの歩みから、積極的に取り組まれている「民間金融機関との連携」「事業承 継支援」を中心に色々とお話をお伺いしました。

※このインタビューは令和2年1月30 日に行われたもので、その後の新型 コロナウイルス関連の対応で、日本政策金融公庫はセーフティネットとして の役割を担うべく、これまでにない膨大な借入需要に対応しています。

日本政策金融公庫の歴史

<澁谷>

日本政策金融公庫のこれまでの歩みについて教えてください。

(田中総裁)

平成20年10月1日に4つの政府系金融機関が統合し、株式会社日本政策金融公庫(以降、日本公庫)が発足しました。当初は国際協力銀行も統合対象となっており、相当大きな組織でした(国際協力銀行は平成24年 4 月1 日に分離)。現在の日本公庫は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫の業務を引き継いでいます。

 

各々の歴史を辿れば、戦前の昭和13 年、中小事業者や消費者に対して比較的低利で融資をする「庶民金庫」が設立されました。当時は、中小事業者や消費者が低利で融資を受けることができない時代でした。同じ年に恩給や勲章に付属する年金等を担保に融資をする「恩給金庫」が設立され、昭和24 年にそれらが統合して「国民金融公庫」となりました。その後、平成11 年に環境衛生事業者などに融資をしていた「環境衛生金融公庫」と統合し、「国民生活金融公庫」が誕生しました。

 「農林漁業金融公庫」は、昭和28年に農林漁業者への長期貸付を目的に設立されました。農業は製造業などの一般的な企業と異なり、将来の経営予測が難しい業種です。農作物の出来不出来は天候に大きく左右され、それに伴っ て価格も頻繁に上下します。また、農地は融資の担保物件として適さないことが多く、民間金融機関にとってなかなか支援し難い業種でした。最近になって農業者へ融資を行う民間金融機関も増えてきましたが、それでも一般企業よりもハードルは高いと思います。

「中小企業金融公庫」も農林漁業金融公庫と同じ昭和28年に設立されました。敗戦後の当時は国際競争力をつけるべく、大企業を中心に資源や資金を配分する大企業中心の政策が実施され、産業の二重構造が生じている時代でした。 しかし、それではいけないということから中小企業に着目した政策が始まり、協同組織の設立や生産性をあげるための設備の近代化、補助金の交付、減税対策など様々な対応が実施されました。そのような時代背景があって、民間金融機関からの資金調達が困難な中小事業者を支援すべく設立されたのが中小企業金融公庫です。

3,000 万円以下の融資が全体の約94%を占める

<澁谷>

日本公庫の現在の融資状況など、実績について教えてください。

(田中総裁)

令和元年9月末現在で職員数約7,300人、国内支店数152 支店、海外駐在事務所2か所、事業資金の 総融資残高17 兆577 億円となっています。内訳は国民生活事業が88万先で6 兆1,430億円あります。次いで、農林水産事業が4.6万先で3 兆1,335億円、中小企業事業が4.4万先で5 兆2,489億円となっています。これらの数字を見ていただくと、国民生活事業の貸付先が圧倒的に多く、少額で多くの融資を実行していることがわかると思います。そして、もう一つのポイントは信用保険業務です。民間金融機関による各都道府県の信用保証協会の制度を活用した融資の再保険残高が20兆8,767億円あります。

融資構造を貸付金額別に見ると、平成30年度は全体で293,030件の融資があり、その半数以上が500万円以下の貸付(149,136件)です。また、3,000万円以下で全体の約94%を占めます。日本銀行や全国信用組合中央協会の公表データから中小企業向け貸付残高シェアを作成すると、日本公庫のシェアは4.1%(115,170億円)になりますが、少額での貸付件数が多いため、世間の話題になりやすいと感じています。

農業向け貸出残高では、日本銀行や農林中央金庫等の公表データに基づくと、日本公庫のシェアは38.2%(1兆7,945億円)となり、JAバンクと合わせて8割超、国内銀行(民間金融機関)が残り2割弱になります。農業に対 する融資判断が難しいことが日本公庫のシェアが高くなる要因です。農業は業績が天候に左右され、利鞘が少ないビジネスであるため、事業者が事業資金を短期で返すのは難しく、これまでは農業者への長期貸付となると日本公庫が対応していましたが、近年では、徐々に民間金融機関も農業が盛んな地域を中心に農業者への融資に取り組み始めています。

政府が取り組む政策の一部を担う金融機関

<澁谷>

日本公庫と民間金融機関との違いについて教えてください。

(田中総裁)

政府系金融機関である日本公庫は、資金の大部分を財政投融資から調達していますが、融資の対象者や金 利、融資金額の上限、融資期間などの条件は全て国で決定されています。つまり、我々は、政府が取り組む政策の一部を担う金融機関として位置付けられており、民間金融機関のようにお客様と折衝して、融資条件を決めることができません。

政府が中小企業や農林水産業の政策を遂行する手段として、様々な補助金制度や減税措置を実施しますが、それに並んで日本公庫の融資があると考えていただければと思います。経済産業省が国内で省エネ設備の導入を促進させた いと考えれば、資金力の弱い中小企業にスピード感をもって浸透させるため、補助金制度や減税措置を設けます。それらと同様に比較的低利で長期の政策金融が用意され、その事業者に対する融資を日本公庫が担います。

日本公庫は資金調達や資本に政府が入っているにもかかわらず、自由に金融業務を行っていると誤解している方が多いかもしれませんが、実際はそうではありません。日本公庫は民間金融機関との関係を重視し、良好な関係を作り たいと思っていますが、そのためにも日本公庫がどのような存在なのか、補助金や減税制度と同じように政府の政策の一つであることをご理解いただきたいと思っています。その上で「農林漁業者に対してこれほど手厚い政策は不要なのではないか」、「中小企業とはいえこれほど低利な条件は不要ではないか」といった意見があれば、政府の政策に対する議論として民間金融機関の皆さまのご意見を政府に伝えていますし、政府との協議の場を設定しています。

民間金融機関との協調融資を強化

<澁谷>

民間金融機関との連携についてお聞かせください。

(田中総裁)

これまでも民間金融機関との連携に取り組んできましたが、私が就任してから新たに始めた取組みが、日 本公庫から民間金融機関へのお客様紹介です。もっとも、これは平時における取組みですが、例えば、日本公庫に事業費全額の資金相談があっても、お客様に対して一部でも民間金融機関から借りることを勧めるようにしています。特に、金額の大きなご相談については、民間金融機関から一部でも調達されてはどうかと、お客様の意向を確認した上で説得しています。現在、中小企業事業において、融資額が1 億円以上の案件の90% 以上は民間金融機関との協調融資になっています。

とはいえ、日本公庫は政策金融機関なので、「必要資金の全額を何が何でも日本公庫から調達したい」というお客様について、政策性があれば断ることはできません。その場合には、お客様から取引のある民間金融機関に対して、 事前に日本公庫から全額調達する旨の断りを入れてくださいとお伝えしています。ほかにもお客様の了解を得た上で、我々から民間金融機関に対して「協調融資で支援しませんか」という提案もしています。

さらに、民間金融機関と日本公庫の融資商品をパックにした「協調融資商品」も創設しています。現在277 機関で382商品(令和元年9 月末)あり、民間金融機関と合同で作成したパンフレットを店頭に設置するなどしていま す。それらの取組みの結果、協調融資の実績は年々増加し、平成30年度は30,768件、1 兆2,929億円となり、今年度も同等のペースで推移し、平成31年3月末時点で協調融資を実施した金融機関の割合は97%となります。

一方、民間金融機関からの紹介案件にも積極的に対応しています。これまでも創業や農業などの分野を中心に民間金融機関が単独で全額融資対応できないケースなどにおいては、民間金融機関から公庫に相談が持ち込まれるなど、 リスクヘッジとして日本公庫を使ってもらっています。平成30年度はこのような民間金融機関からのお客様紹介が34,197件ありました。

日本公庫は沖縄県を除く全国に拠点がありますが、日本公庫だけで全国の中小企業、農林漁業をカバーするのは実質的に不可能です。例えば、広島県には4つの支店があり、中核となる広島支店には約120名の職員が在籍していま すが、残りの3支店は各店10名から20名程度です。そのため、とても全ての事業者の方から直接お話を伺うことはできません。特に小口の案件を数多く抱える国民生活事業は、地域の民間金融機関との連携があって初めて成立する事業だと考えています。

民間金融機関との対話を進め、連携を発展させる

<澁谷>

田中総裁が民間金融機関の経営層を訪ね、積極的に情報交換等に努められているとお聞きしました。その点についてお聞かせください。</p>

(田中総裁)

規模が大きい地域金融機関においては、各支店の現場レベルでは日本公庫と連携ができていても、トップ までの距離が遠いために、経営層までその情報が伝わっていないことがあります。そのため、私を含む日本公庫の役員が民間金融機関の経営層を訪問し、意見交換する取組みを始めました。これも従来にはなかった取組みであり、私自身も総裁就任後の2 年間で47行の金融機関を訪問し、話をしてきました。

平成30年度に日本公庫が10周年を迎えた際には、全国7か所(北海道、福島県、長野県、岐阜県、京都府、高知県、福岡県)でシンポジウムを開催し、地域金融機関の頭取や知事にもご参加いただきました。これが実現したのも各地域で民間金融機関と連携を進めてきた成果だと思っています。

日本公庫では、全銀協などの民間金融機関が加盟している各種協会との意見交換会を開催し、民間金融機関の皆さまと情報交換をしています。また、制度に関することは民間金融機関と政府関係者が直接意見交換できるようにして います。

また、令和元年9月末時点で493の金融機関等と「業務連携・協力にかかる覚書」を締結しています。これは組織同士の話になりますので、経営層の方に公庫との連携を意識していただける点でも意味は大きいと考えています。

金融機関によってスタンスが異なりますが、公庫と連携して政策金融の一部をうまく活用することで、お客様の借入金利全体を加重平均で下げようとする金融機関も出てきています。我々は各金融機関のご意向を踏まえながら対応 していきたいと考えています。

譲渡希望の手をあげやすい環境をつくる

<澁谷>

事業承継支援についてお聞かせください。

(田中総裁)

近年の事業承継における課題は、事業として順調に推移しているにもかかわらず、後継者不在により廃業するケースが増えていることです。日本公庫でも中小企業事業のお客様は比較的早い段階から子息を後継者として会 社に迎え入れ、事業承継対策に取り組んでいますが、商店街で小さな店舗を構えているような事業者等はたとえ事業が儲かっていたとしても、後継者不在のため廃業を迫られている人たちがたくさんいます。この方たちをそのままにしてはいけないと思います。

事業承継対策の一つとしてM&A が主流になっていますが、今申し上げたような小規模事業者にとって大手のM&A仲介業者の手数料は高く、大きな負担を伴います。大手M&A仲介業者の商業ベースに乗るような中小企業はそれで良いと思いますが、日本公庫が支援すべきなのはそうではないお客様です。そして、この層の事業者が地域には圧倒的に多いのが実情です。そういった方々への支援は日本公庫や公的機関の役割だと考え、いくつかの取組みを実践しています。

一つは後継者不在の小規模事業者と創業希望者等から寄せられる事業譲渡・譲受に係るニーズを把握し、両者を引き合わせる「事業承継マッチング支援」です。昨年4月に東京で開始し、令和元年12月までに申込登録として譲渡 希望60件、譲受希望194件(うち創業希望者57件)の手が上がり、引き合わせが25 件となりました。譲渡希望の手 がなかなか挙がらない点が最大の問題だと考えています。

事業承継にあたっては、近隣事業者の目や事業の先行き不安など、様々な想いが交錯しています。それは日本の小規模事業者が事業譲渡に不慣れで、それが当たり前という感覚がないことが要因の一つだと思います。そこで、我々の役割は譲渡希望の芽を増やすことだと考えています。

事業承継の事例として、岩手県盛岡市にある「平船精肉店」の事例があります。同店では創業間もない頃から秘伝のタレに漬け込み焼き上げたローストチキンが看板商品となり、地域の方々に愛されていました。しかし、親族への 承継が叶わず、後継者不在の課題を抱えていました。創業者は地域にたくさんのお客様がいるため、廃業したくないと考え、「『平船精肉店』という名前を残すこと」と「ローストチキンの味を守ってくれること」を条件に事業譲渡の決断をしました。

 その後、県内の事業引継ぎ支援センターに相談したところ、当時39歳で独立を模索していた男性と巡り合いました。後継者となった男性は3~4ヶ月の修業を受けてローストチキンの作り方を伝授され事業を承継しましたが、店は引続き繁盛しているそうです。お客様にとって親族が承継するか否かは重要ではなく、そこでローストチキンが買えるということが重要だったのです。事業承継後に付加価値が落ちていないことがポイントだと思います。

このような第三者承継の取組みが当たり前のこととして全国に広まっていけば、世の中は変わるのではないかと思い、全国の好事例をいくつも集めています。そして、商工会や生活衛生同業組合といった事業者の集まりにおいて、 全国の好事例を紹介していきたいと考えています。

セーフティネットでも民間金融機関と連携

<澁谷>

セーフティネット機能についてお聞かせください。

(田中総裁)

近年、自然災害が多く見られますが、セーフティネット機能の発揮は日本公庫の役割の中で最も重要な仕事だと考えています。一昨年の西日本豪雨では約2,900件の相談があり、昨年秋の台風15号、19号も、西日本豪雨の実績に近い水準となっています。

被災した方々は自身のこれまでの実績を示す資料なども無くしていることも多く、借入相談時は顔を見ての判断になります。その多くは少額ですが、しっかりと返済されています。そして、セーフティネット対応においても民間金 融機関と連携しています。

例えば、民間金融機関がお客様を支店に集め、その場に日本公庫の職員を呼んできて、日本公庫の職員がお客様の相談に乗り、融資をするなど、民間金融機関が公庫をうまく使っているケースもありました。これは今までになかった動きであり、民間金融機関との連携を進めてきた成果だと感じます。

地域活性化の鍵を握るのは「創業支援」と「農業活性化」

<澁谷>

地域活性化に対するお考え、日本公庫の役割についてお聞かせください。

(田中総裁)

地域活性化のポイントは創業の促進と農業の活性化だと考えています。日本公庫は年間約2万8千先への 創業融資を行い、その数は融資件数全体の約1割を占めています。創業融資こそ日本公庫の真骨頂ですが、近年は地 方公共団体も創業支援に積極的です。地域の信用保証協会と連携し、地方公共団体が信用保証料を補填する、民間金融機関がその保証を得るためには一定以下の金利条件で貸出することを条件にするといった取組みが行われています。

創業融資はリスクが高いのも事実です。そこで、日本公庫で今力をいれていることは、融資を実行した後のフォローアップです。これを今まで以上にしっかりと行いつつ、創業融資を積極的に取り組んでいきたいと考えています。

また、同じく農業も地域活性化においては大切だと考えています。農業と聞けば、北海道や九州をイメージされる方が多いと思いますが、その他の地域でも重要な産業であり、農業の存在しない地域はありません。地域で農業をど のように活性化するかが重要であり、それが地域活性化と深く結びついていると思います。

若者がやりたいと思うような、週休二日で、かっこよく、相応の収入が入る、このような農業を目指すべきです。高齢化の進行とともに農業の担い手不足も問題になっていますが、離農する方の経営基盤を若い担い手が引き継いで、 大きな法人組織として承継するといったケースも全国で増えています。こういった背景もあり、日本公庫の農業融資 のうち、金額ベースでは約8割が法人向け融資です。

農林水産分野での貸付額は平成26年度に3,669億円だったものが、平成30年度には5,583億円まで増加しています。最も増加しているのは畜産・酪農分野です。大規模で経営体としてしっかりしている、そして若い後継者が入ってくる、そのような「普通の企業体としての農業」、これを育てていきたいと考えています。こうした経営体が増えることが、地域活性化の一番の原動力になると思いますので、これを地方公共団体と連携し、取り組んでいきたいと思います。

そして、もう一つが海外への展開です。農産物の海外輸出ができるようになると、地域は非常に活性化すると思いますが、農産物はロットが小さいため流通の面で簡単ではありません。青森県では、地域のりんご農家を束ねている 事業者が地域のりんごをまとめて台湾に輸出している事例もあります。農業でも海外輸出がリスク分散として有効であり、売上高の1 ~ 2 割でもよいので、海外輸出を経験することはとても大切です。鹿児島県のメロン農家では、日本公庫の「トライアル輸出支援事業」という仕組みを活用して輸出を始め、今ではアジア圏への輸出が全体の売上高の2~3割を占めるまでになっています。最初から大きなロットで輸出するのはリスクが高いため、最初は少量で輸出してみて、現地での反応が良ければ、本格的に輸出するのが「トライアル輸出」です。鹿児島県のメロン農家はこれで成功し、海外での売上高を一気に伸ばしました。

日本の食品・食材はその美味しさから海外でも好評ですが、小ロットであるために大手商社は取り扱ってくれません。日本公庫の「トライアル輸出支援事業」では13の貿易商社と提携し、輸出意欲のある農業者等の海外での販路 開拓をサポートしています。農作物をどのように海外に流通させるか、政府による更に高度な戦略に期待しています。 海外への展開は簡単なことではありませんが、あらゆる課題をクリアにして、事業のリスク分散としても海外展開を図っていくことは大切だと考えています。

地域の小さな企業や農業を守っていく、事業承継をしっかりできるようにする、事業として海外展開を視野に入れた対応をする、これらを促進させることが地域活性化において重要だと思います。つまり、我々が特別な何かをやる わけではなく、日本公庫の事業を真剣にやること、そのものが必ず地域活性化のためになると信じています。

色々な経験を積んでこそ一流の金融マンになれる

<澁谷>

最後に金融業界の将来を担う若手職員に期待すること、メッセージをお願いします。

(田中総裁)

金融業界では、地域によって金融機関は不要だというような極端な議論もありますが、地域経済において 金融がなくなることはあり得ないと思います。日本の大企業を支えているのは数多くの地域の中小企業であり、日本の付加価値は中小企業にその源泉があると考えています。そして、その地域の中小企業を支え、新しい芽を育ててい くのが地域の金融機関ですので、そうした仕事には非常にやりがいがあると思います。金融機関で働く若手の皆さま には、バイタリティをもって、是非地域の中小企業に入り込んで仕事をしてほしいと思います。

金融に限らず全てに言えることだと思いますが、色々な経験を積まなければ能力は開花しません。そのため、公庫内でも国民生活事業、農林漁業事業、中小企業事業間の人事異動を活発に実施しています。また、民間金融機関から 日本公庫に転職してくる方も多く在籍し、支店の中核的存在になる職員もいます。つまり、現場で色々な経験をしなければ、本当の意味での金融マンになれないと思います。

最後に、日本公庫が創業・新事業の支援をして後に上場した企業は、平成元年以降の上場企業総数のうち約3割もあることがわかりました。この中には有名な企業も含まれており、自分が担当し、育てた企業が地域や日本を代表す る企業になるかもしれない、そういった夢を大切に、金融業界を背負っていってほしいと思っています。

 

 

田中 一穂(たなか・かずほ)
昭和30 年生まれ
〈 学歴 〉
昭和54 年 3 月 東京大学 法学部 卒業
〈 職歴 〉
昭和54 年 4 月 大蔵省(現:財務省)入省
平成 8 年 8 月 米・コロンビア大学客員研究員
平成12 年 7 月 主計局主計官(厚生労働係担当)
平成14 年 8 月 理財局財政投融資総括課長
平成15 年 7 月 大臣官房秘書課長
平成18 年 9 月 内閣総理大臣秘書官
平成23 年 8 月 理財局長
平成24 年 8 月 主税局長
平成26 年 7 月 主計局長
平成27 年 7 月 事務次官
平成28 年10 月 東京海上日動火災保険株式会社 顧問
平成29 年12 月 株式会社日本政策金融公庫 代表取締役総裁

(2020/04/20掲載)

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