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中国銀行 宮長 雅人 頭取 インタビュー

Face to Faceで顧客との絆を深める

左右にずらりと並んだ約640のブースから、餃子やうどんの試食を誘う声が響いてくる。混雑した会場を進む中、思わず手に取ったのは海藻である。口に運ぶと、広がる磯の香りを感じる。と、次の瞬間すかさず、ハッピ姿の銀行員に、他の商品を試食するよう勧められる。興味を持って近づいたところで、見事に彼の銀行ブースまで誘導されたことに気がつく。地元の特色あふれる食品会社と連携して、積極的に商品を売り込もうとする銀行員の姿が印象に残る。
10月21、22日に東京ビックサイトで催された「地方銀行フードセレクション2013」は、2日間で一万人を超える来場者で賑わった。出展社は北海道から沖縄まで、主催の地方銀行38行が自信を持って推薦する食品会社のみが出展する。国内では最大級の食の商談会である。今年で第8回目を迎えた本イベントの主催行の1行、中国銀行の宮長頭取にインタビューを行った。
>> 地方銀行フードセレクション2013 Webサイトはこちら

聞き手:リッキービジネスソリューション(株) 代表取締役 澁谷 耕一

▲ 中国銀行 宮長 雅人 頭取

<澁谷>

―地方銀行フードセレクション2013にご来場いただいた感想・ご意見をお聞かせください。

(宮長 頭取)

先月のフードセレクションで当行としての参加は4回目でありましたが、毎年趣向を凝らしたこだわりの食品が数多く展示されており、非常に関心を持って拝見させていただきました。

また、毎年参加されている企業がいらっしゃることからも、高い商談成約率やバイヤーの質が高い商談会であるからこそと理解しております。


 近年においては、JETROとの連携による海外販路についても力を入れているとのことで、海外バイヤーとの商談では、海外に向けた商品開発などのヒントを得る場としても、お客様にとって貴重な商談会となったのではないでしょうか。


 当行は原則、出展企業の担当者が、商談会を直接お手伝いすることとしております。これにより、その企業の商材・ビジネスモデルについてより深く理解し、取引先とのリレーションをさらに強化することにつながっていると考えております。


 今後においても、地域の特色を生かした食品の発掘に注力するとともに、お客様の販路拡大につながる「フードセレクション」への参加を継続していく方針です

<澁谷>

貴行における食品やアグリビジネスへの取り組みをお聞かせください。

(宮長 頭取)

当行でのアグリビジネス分野への取り組みとしては、従来から地元の養鶏場や養豚場などの家畜業者の方への融資を積極的に行ってまいりました。


 また、近時の地元企業による異業種農業参入やマーケットの拡大機運等、昨今の農業ビジネスへの関心の高まりを受け、当行では、従来以上に専門性の高い支援を行う必要があると考え、以前から農業分野に精通した人材の育成を強化しておりました。


 加えて、日本政策金融公庫(旧農林公庫)との間で平成17年2月21日付「業務協力に関する覚書」を締結し、協調融資の実行や農業経営・融資制度に関する情報交換、セミナー・交流会等の共同開催等も取り組んでおります。

 平成25年6月からは、営業統括部に専担部署を設置し、農業ビジネスへの取り組みを強化するための支援体制を敷くことと致しました。


 平成25年9月には、ブランド牛を担保に取得したABL融資(在庫担保)を実施いたしました。

また、近時では、10月4日に「ちゅうぎんアグリサポートファンド」を創設し、融資に加え、出資による支援も行い、地域の農林漁業の活性化を支援してまいります。

 当ファンド設立にあわせまして、平成25年11月22日には、日本政策金融公庫岡山支店協賛のもと、6次産業化による地域の活性化を支援することを目的に「ちゅうぎん6次産業化セミナー&交流会」を開催いたしました。


 当セミナーと交流会では、先進農家による6次産業化の具体的事例の説明に加え、農林漁業者と商工業者の交流ブースや当地バイヤーとの特別商談ブースを設置し、地域での取引拡大、連携のお手伝いをさせて頂きました。

 今後についても、外部機関とも積極的に連携し、資金調達の円滑化や経営相談等の支援を行うことにより、地域の農業発展への寄与と新たな収益機会の確保を目指してまいりたいと考えております。

<澁谷>

お取引先に対するコンサルティング営業で、特に力を入れていることをお聞かせください。

(宮長 頭取)

平成25年6月に営業統括部内に地域開発チームを創設いたしました。

 従来まで当行内の各部署に配置していた専門知識を持つ担当を、地域業務開発担当、成長業種担当、情報センター担当、財務開発担当、新規開拓・融資FA担当として、1つのチームに集約しました。これにより、各担当者の連結が密になり、支店のみでは対応が難しかった専門性の高い分野や、成長が期待される分野において支店を幅広くサポートし、資金需要の創造、発掘から、事業に関する助言、行政との連携、資金調達の提案まで、従来より一層質の高い金融サービスの提供に取り組んでいます。

<澁谷>

創業・起業支援への取り組みは、いかがですか。

(宮長 頭取)

 当行では、「地域密着型金融の推進に関する基本方針」の中で取引先企業に対するコンサルティング機能の発揮の一つとして、創業・新事業支援を掲げております。


 平成24年度のベンチャー投融資件数は、企業育成支援制度や創業支援制度の活用により20件の実績となりました。


 月より「企業育成支援制度」を創設し、平成25年3月末までの累計で、66件|1602百万円の案件を取り上げております。これらの投資先から株式公開企業も誕生しております(累計6社)。


 また、平成12年に(株)ベネッセコーポレーションと共同出資して設立した「ファンド」についても同様に地元ベンチャー企業へ出資のお手伝いをさせて頂いております。


 また地元の大学、自治体および政府系金融機関との連携を強化することにより、資金面と併せた総合支援体制の充実を図っております。


地域経済、地域産業を重たる取引基盤とし、地元企業の育成を使命とする地方銀行にとって、ベンチャー企業支援は積極的に対応していかなければならないと認識しており、地域経済の活性化のためにも引き続きベンチャー企業の各種ニーズに積極的に取り組んで参ります。


 また、平成25年4月8日には、日本政策金融公庫と「業務連携・協力に関する覚書」を締結し、同日、連携金融機関の紹介によるものとしては全国で初めての挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)案件を実施いたしました。

(2013/11/12 取材 | 2013/12/01掲載)

金融機関インタビュー