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山梨中央銀行 進藤 中 頭取 インタビュー

「部下を信頼し、人との関わりを大切にする」

富士山を始め、南アルプス、八ヶ岳、大菩薩嶺と四方を山に囲まれた山梨県。自然に恵まれ、果物やミネラルウォーターの産地、また精密機械工業の集積地としても知られています。しかし昔は、寒暖の差が激しいため、作物が育ちにくい大変貧しい土地柄だったとのこと。山梨出身の著名人には石橋湛山元総理や金丸信元副総理など多くいらっしゃいますが、みなさん苦労して大成した方が多いそうです。
今回の巻頭インタビューでは、そんな山梨県甲府市に本店を置く、山梨中央銀行の進藤頭取に同行の強み、人材育成、頭取の経営哲学などについて伺いました。

聞き手:澁谷耕一(リッキービジネスソリューション)

○山梨県の県民性
<貧しい土地柄の中から生まれた実業家が多い>

<澁谷>

そうするとやはり、郷土愛という意識はかなり強いのですね。山梨の県民性というのはどういうものでしょうか。

(進藤 頭取)

県民性というのは、結構難しいんですけれども、貧しい土地柄ゆえに成功された方が多いかもしれませんね。


今でこそ山梨は自然に恵まれたところで、果物が豊富であったり、ミネラルウォーター生産量日本一、日照時間が日本一というところに脚光が当てられています。しかし、かつては大変貧しい県でした。東京の隣にありながら周囲を高い山に囲まれていて、人が住める面積は30%くらいしかないんですよ。また、夏は暑く冬は寒い。山梨ではお米を作るか養蚕をする、あるいは公務員になるくらいしかなかったんですね。従って、先人は東京とか大都会に出て行って一旗揚げようという人が多かった訳ですよ。東武鉄道を創設した根津嘉一郎(ねづ かいちろう)さんもそうですし、宝塚歌劇団を作った小林一三(こばやし いちぞう)さんなど、貧しい土地柄の中から生まれた事業家がいるというのは、一つの県民性の集約された現れなのかなと思います。ちょっと悪く言うと甲州商人とか言われますけれども、でもみんな必死に努力をして一旗を挙げた。だから、今もいわゆる財界の方々の中にも、山梨出身の方が沢山いらっしゃるんだと思います。

<澁谷>

東京に上京して、いわゆる大企業でトップになられている山梨の方々が大勢いらっしゃいます。もちろん優秀だったり、頑張ったいう理由もあるんでしょうけれど、現実的に大企業のトップに上り詰めていくというのはなかなか難しいのではないですか。そういう方々がトップにいく要因というのはあるのでしょうか。私は、頭取をはじめ、山梨出身の色々な方とお付き合いすると、すごく親しい感じになるんです。排他的でもなく、みなさん親しくなれるというか。外の付き合いが上手な感じがしますが、その辺は、いかがですか。

(進藤 頭取)

山梨県に来た方々は、最初は排他的だという印象を持たれることが多いようですね。今でこそ時代が変わってきましたけれど、我々が子供の頃の言葉で、「キタリモノ」という言葉があったんです。要は、外から来る人、地元の人ではないという意味です。「キタリモノ」という言葉にあるように、実は排他的なところが結構あったみたいですね。

逆にこちらから出て行った人たちというのは、それを嫌ったところがあるんじゃないでしょうか。自分たちがそういう思いをしたくないということがあって、一生懸命地域に溶け込もう、みんなと仲良くしようと努力し、それが結果として実ったのではないかなと思います。


 いわゆる「甲州財閥」と云われた方々というのは、発想力が豊かだという風に云われていますよね。常に新しいことを考えて、それにチャレンジしていくという。多分、もう、功なり名を遂げなければ田舎には帰れない、つまり背水の陣で外に出て行ったということもあるのでしょう。


 根津さんの他にも、最近ですと、国際興業を創立した小佐野 賢治(おさの けんじ)さん、政治家では、有名な方だと金丸 信(かなまる しん)さん(元副首相)や昔の人だと石橋 湛山(いしばし たんざん)さん(元首相)とか。

<澁谷>

サッカーの中田英寿さんは頭取の後輩ですよね。

(進藤 頭取)

はい。あと最近の有名な人というと、財界ではありませんが、小説家の林 真理子(はやし まりこ)さんとか、辻村 深月(つじむら みづき)さんとか。そのもっと前だと、樋口 一葉(ひぐち いちよう)さんとか。今年の4月から放映される朝の連続ドラマの主人公になっている赤毛のアンの翻訳をされた女性、村岡 花子(むらおか はなこ)さんもいらっしゃいます。

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についてインタビューします。

(2014/2/取材 | 2014/3/20掲載)

金融機関インタビュー