「CS/ES、No1銀行を目指して」というスローガンに込められた頭取の想いというのは?
※CS(顧客満足)、ES(従業員満足)のこと
山梨中央銀行 進藤 中 頭取 インタビュー
「部下を信頼し、人との関わりを大切にする」
今回の巻頭インタビューでは、そんな山梨県甲府市に本店を置く、山梨中央銀行の進藤頭取に同行の強み、人材育成、頭取の経営哲学などについて伺いました。
聞き手:澁谷耕一(リッキービジネスソリューション)
○スローガンに込めた想い
<お客様満足を上げるため、従業員に自行を良い銀行と思ってもらう>
<澁谷>
(進藤 頭取)
先程もお話に出ましたが、山梨県には競合する地方銀行が支店を含め何もありません。そういう環境だと、そんなに必死になって努力をしなくても、黙っていても当行とお取引をしてくれるお客様が多くいるわけです。これは、裏を返すと、甘さや危機感の欠如に繋がってくると思います。これから益々競争が激しくなってくるわけですよね。危機感が欠如した状態では、この先本当に大変になってしまう。そこで、とにかくお取引して頂いたことに、お客様が満足して頂けるような銀行でなければいけないということで、まずCSをきちっと確立していかなければならないと。そしてCSを確立していくためには、まずそこにいる行員が、自分たちがこの銀行を良い銀行だと思って必死になって頑張ってもらう、そういう銀行であらねばならないということが、このスローガンに繋がっているんです。
○中小企業の経営支援
<シャッター通りをきれいにする「街並みづくり応援ローン」>
<澁谷>
御行は中小企業の経営支援の取り組みのひとつとして、「街並みづくり応援ローン」という興味深いことをされていますね。これについて、内容と現段階の状況をお聞かせください。
(進藤 頭取)
甲府の街もシャッター通りが多くなってきました。たとえ店のシャッターが降りていても、外観がきれいであれば別に良いのですが、シャッターが降りるとみんな汚いんですよ。店は開かなくてもせめて看板やシャッターだけでもきれいにして頂けたらいいなということで、出来上がったのがこれです。そんなに金額は多く要らないわけですから、出来るだけ低利で使って頂けるようなローンです。しかし、やはり自分のところばかりそれをやっても、周りがやらないと面的な広がりがなかなか出てこないということで、実際にはこれを活用してくれるようなところまでは、まだいっていません。
実は、昨年の11月から甲府商工会議所の副会頭になり、甲府の中心市街地活性化協議会の座長を仰せつかりました。それもあって、こういったローンをできるだけ使って頂けるようにPRしたいと思っているんです。
このローンとは直接関係ありませんが、当行の本店がある一角に、城南商店街という商店街があります。そこが市から補助金を受けて、街並みをきれいにするというプロジェクトがスタートしたんです。そうしたら商店街の方から、「山梨中央銀行さんの建物の一部を市街地活性化として、景観の美化のために使わせてくれませんか?」という話がありました。本店の周りにある石造りの塀に絵を飾らせてくださいとか、北側にある世界地図と時計のある空間をポップアートの為に貸してくれないかとか、汚れた壁面をみんなできれいに塗り替えるために、山梨中央銀行も協力してほしいということなんです。それだったら積極的に協力しようよ、ということになりました。また、そこの街並みがきれいになれば、多分こっちの商店街とかも「じゃあ、うちもちょっとやってみよう」と乗り気になるでしょう。その時にお安くご融資することもできますので、積極的に協力しましょう、ということになっています。
○進藤頭取の経営哲学
<関わりのあった人たちとの関係を大切にする / 部下を信頼する>
<澁谷>
頭取の大切にされている経営の哲学や考え方を教えていただけますか。
(進藤 頭取)
これは澁谷社長の本の中にも書かれてありますが、やはり人との関わりを大切にするということですね。経営者としては、わが行の行員を信頼する。部下を信頼する。対外的には、お客様を含めて、関わりのあった人たちとの関係を大切にする。これは、色々な機会にみんなにお話をしています。性悪説とか性善説とかありますが、私は基本的に、性善説に立っているんですよ。私がそういう気持ちで部下に接すれば、必ずそれに応えてくれるという風に信じていましてね。とりあえず今まで裏切られたことがないので(笑)、大丈夫だと思うんですけどね。
<澁谷>
(進藤 頭取)
そうなのかも分からないですけれど、やはり信頼してあげないと、良い仕事はしてもらえないと思いますからね。
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○若い読者へのメッセージ<常に前向きで一生懸命に / 期限前に仕上げる努力をする>
についてインタビューします。
(2014/2/取材 | 2014/3/20掲載)