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第3回 倒産形態別対応 :会社更生|取引先倒産!そのとき[銀行員ドットコム]

銀行の融資担当をしていても、そうそうめったやたらにぶつからないといえますが大型企業の再生型倒産では、最もよく使われる形態です。通常の支店法人担当では、一度も経験しないで終わる場合が大半だと思いますが知っていて損はないので一応、その流れを列挙します。
ちなみに更正担保権がない場合は、ある意味、もうまな板の鯉です。何も出来ないのと同じです。

簡単に言うと、評価実態・第三者対抗要件のある担保。

会社更生とは

株式会社が支払停止や債務超過の状況に陥っているものの、再建の見込みがある場合に、債権者や株主、従業員、取引先等の利害を裁判所の監督の下に強力に調整しながら会社を再建せしめる(会社更生法1条)法的整理手続です。

有名な会社では、コピーの三田工業(株)や(株)日本リース、ハウステンボスなどが列挙されます。

会社更生の流れ

(イメージを抱いて頂くため日時を記載・当然数ヶ月の前後はあります)
1月1日 東京地裁に会社更生手続開始申立、即日保全処分命令
同日、各金融機関、取引先にFAXや電話にてその旨の通知
1月2日 保全管理人選任(弁護士)
4月1日 会社更生手続開始決定
(スポンサーや再生ファンドの支援、DIPファイナンス等の表明等)
5月1日 債権者集会(関係人集会)(第一回)
(手続開始に至った理由、B/S、P/L、今後のスケジュール等の説明)

この間に大口債権者や更正担保権者集会、管財人による金融機関や大口債権者周りが行われる。さらに、何度かの債権届け出、並びにその調査が行われます。翌年以降 数回の関係人集会が行われ、更正計画認可決定が行われます。

ここでのポイントは、民事再生と同様ですが、金融機関や大口債権者としては債権額の間違いは問題外としても、更正担保権にどれだけ認められるか?がポイントになります。利息は?遅延損害金は?取得している担保のうちどれだけが更正担保権になるか?また、更生債権の返済期間とその弁済率は適正かどうか?これらは、通常、一銀行担当者での判断を越えており、審査部・融資部・法務部更には、不動産鑑定士等と連携をして、現実的な計画案かつ最大限のリターンを銀行にもたらすべく、努力する必要があるでしょう。

第1回関係人集会への出席

更生手続開始決定日から2ヶ月以内に開催。更生手続開始決定に至った事情等につき説明。

更生担保権交渉

一般的に、更生会社の収益力は低く、収益還元法では相当低い評価額が出る可能性が高い。収益還元価格だけでなく、地価実勢やその他実例を基にした適正な評価を裁判所にしてもらう努力が必要です。

更生計画案提示

実質的な収益力に基づく弁済率及び弁済期間が妥当か否かを判断する。更生計画案審理のための第2回関係人集会、第3回関係人集会 同日に行われることが多いのですが、まさにここがポイントになります。

なお、更生計画案の議決に当たっては、更生担保権者の組と更生債権者の組の二つの組に分けて決議される。

更生計画認可決定

第3回関係人集会でその計画が可決されれば、集会終了後直ちに裁判所より認可決定が言い渡され、更生計画は効力が生じます。