第5回 会社倒産時の対応|取引先倒産!そのとき[銀行員ドットコム]
取引先倒産時の対応 (稟議手続、預金口座、外貨・デリバティブ、担保処分の仕方)
倒産かも知れないという情報を聞いたとき
まずは倒産事実の確認
取引先(会社の責任者・財務担当者)に直接確認。
マスコミ等(特に信用情報)の情報のみの判断はリスクあり。
法的整理の場合・・裁判所の「受理証明」(写し)の徴求。
銀行取引停止処分の場合・・手形交換所からの通知。
預金口座の払出停止の確認
当該取引先の各種預金口座の払出停止をかける。
更に保証人の口座についても、払出停止をかける。
当座預金の解約
当座勘定規定に基づき解約手続を通常行う。但し、メインバンク・決済口座として使われている場合は、善後策を本部に相談の上、決定する。
(決裁基準、申請書(稟議書)を預金課に回付)
解約の効力 通知が取引先に到着した時点(但し、銀行取引停止処分の場合は通知発送時点)。
解約金は相殺原資として仮受金等の勘定科目で保留。
手形・小切手の回収
回収できなかった場合は、未回収のものを確認のうえ、現在、使用されている手形・小切手の確認をし、業務記録等を作成。
交換呈示があった場合の対応
解約前 残高があれば支払に応ぜざるを得ない。
解約後 取引なしで不渡り返却 第1号不渡り。
(注) 裁判所から保全処分命令が出ている場合。
「○○法第○○条による財産保全処分中」の不渡事由で解約前であっても不渡返却可能 0号不渡り
関係各部署への連絡
審査・融資部等に連絡・・・延滞倒産発生報告書等の規定書類があると思われるのでそれに準じて作成・回覧。
期限の利益喪失通知(当然喪失)の発送(割手の場合は買戻請求)。
銀行取引約定書第5条1に基づき発送する・・・通常、期限の利益喪失についても申請・保全処分命令の確認(法的整理の場合)。
申立て後1~2日で出るのが一般的。写しを徴求・・但し、最近は、即日の場合も多い。
債権保全(追加担保徴求、仮差押)私的整理の場合等。
外貨建債権の対応
インパクトローン
外為取引におけるユーザンス債権、信用状取引にかかる求償権等
円貨建債権への変更
倒産後速やかに円貨建てに変更の上、債務承認させる。
適用相場 円転日の電信売相場(TTS)が普通と思われるが、各行の決済基準を確認のこと。
為替予約がある場合・・・原則として予約は解約したうえで直物相場を適用。
円貨債務承認が困難な場合で、予約期日が間近な場合は、予約解約権の行使を留保して予約期日をもって円貨確定することも。
債務承認がなされない場合には、破産宣告日、和議開始予定日等法的整理開始時に円貨に変更する。
外為取引
輸出取引
買取手形の決済状況を把握
決済日経過後も未決済の手形、決済に不安のある手形について、買戻請求を行う。
輸入取引
L/C取引の場合
L/Cの取消し
未決済ドキュメントがある場合:L/C条件との相違で支払不可も可能か?(法務部確認)
輸入ユーザンス取引
ユーザンスの担保である輸入貨物差押
貨物が第三者に売却されている場合は、第三者に対する代金債権差押
為替予約
予約は、倒産事由の発生時点で当然解約として処理する(差損益については、通知書の発送は必要)。
デリバティブ取引
倒産事由の発生により当然解約となるので、倒産事由の発生を知った時点で直ちに解約手続。
個々の対応策については、大変難しいが、審査部門・市場部門との連携をとりながら、手続を行う。
保証履行請求
主債務者が期限の利益を喪失した場合は、保証人に対し保証履行を請求する。 督促状・保証履行請求を発送する。
担保株式の処分
インサイダー情報がないことを確認する。
上場会社の場合、銀行で株式売却を進めている場合や取引先株式を保有しており、業況不振等で資金回収を図っている先がある場合は、特に注意を図る必要有り。
(ヒアリング先)
株式 コンプライアンス関係の部署
債務者へ弁済充当通知書、計算書を送付。「相殺」ではなく、「弁済充当」とする場合が一般的である。