[室町紀行 第四話] 乗り鉄|中国銀行 東京事務所 桜井 茂樹 氏
鉄道と言えば、まだ物心つくかつかない頃、近くにまだSLが走っていました。乗車中、列車がトンネルの中に入ったときの蒸気と車輪の音がとても怖かったことを覚えていますが、当時は鉄道や列車に興味があったわけではなく、ただ、たまに旅行などで乗ったときには、途中の駅名を覚えたり、景色を眺めたりすることは好きでした。
そこに、学生時代以来住まうこととなった前回の東京勤務時代、休日の時間をどうしようかと考えついたのが、「乗り鉄」への入り口となりました。当時は、青春18切符を使って、(勿論鈍行で)会津若松・新潟・長野へと日帰りしたり、岩手県への出張ついでの休日を使って気仙沼から釜石、遠野に足を伸ばしたり、時には1日地下鉄に乗るだけと思いつくままに出かけていました。
岡山に帰った後は、時には家族を巻き込みながら、青春18切符で近場へ、夏休みにはもう少し遠くへと徐々に乗る路線が増えていたところ、今度は広島勤務となりました。そこでまた、帰宅しない休日をどう過ごそうかと思い立ったのが、全国JR路線制覇で、これが本格的な「乗り鉄」への参戦となりました。
広島勤務の2年弱でまずは中国地方を全線乗り終わり、次の転勤で自宅通勤に戻った頃から、一人で行くのは寂しくなってきたので、子育てが一段落した妻を食事と温泉で釣り、その後は二人三脚で近畿地方も約2年で終了。 九州と東海・北陸地方に足を掛け始めたところに、運よく?今回の東京勤務、以前乗車した路線も多かったため半年で関東地方を完了し、現在は東北地方と首都圏の私鉄へと乗りかかっている所です。
私の楽しみは、列車から見える景色と、降りた駅を散策し町の雰囲気を味わうことです。ですから、(最近は、妻を仲間に入れたため、温泉や地元の食べ物・お酒も調べて行くようになりましたが、)出来るだけ鈍行で、かつ、日中に乗るようにしています。
地域によって、育てられている作物や植えられている果樹や山林の植生が全く違いますし、市街地の様子などにも興味があります。また、峠から見える眼下の盆地、山裾を徐々に登りながら見えてくる名山、不相応に巨大な公共施設、車両の中で聞こえてくる地元言葉など、鉄道からは色々なものが見えてくるように思います。
「乗り鉄」としては、東北太平洋沿線が早く全線復旧されることを願っています。
(2012/5/28 掲載)