[室町紀行 第五話] 「癒し」を求めて | 伊予銀行 東京事務所 佐賀山 隆 氏
我が家は、犬を一匹飼っている。名前はサクラ、メスの柴犬である。2年ほど前、家内が知人より譲り受けた。子供が反抗期であったこともあり、子供の精神面の安定を求めたことも理由の一つではあるが、何よりも子犬の可愛さに惹かれ飼うことにした。
予想していたことではあるが、子供たちは幼犬の頃は可愛がっていたが、成犬になる頃には世話はすべて親の仕事となった。
私にとっては、二十数年振りに犬を飼うこととなったのだが、これがなかなか可愛い。私は、単身赴任の生活を送っているが、子供も成長し、今となっては帰省しても喜んでもくれない。犬でさえお父さんと持て囃されている時代なのに。しかし、サクラは喜んでくれる。今の帰省の楽しみひとつは、サクラと朝夕散歩することである。とは言いつつも子供達に会うのも楽しみではあるが・・・。
東京で散歩することも嫌いではないが、サクラとともに田舎の畦道を歩くと心が和む。田舎の自然やペットが人の心を癒し健康増進の効果があるという話を聞いたことがあるが、それも頷ける。「癒し」を求めて犬や猫を飼う家庭が年々増えているというデータもあるそうだ。我が家の周辺でも、農家の方が多く高齢化が進んでいる地区ということもあるが、多くの方々が犬を飼っている。皆さんお元気なご老人であり、田舎の自然とペットの効果もあるのだろう。
ところで、「癒し」という言葉が頻繁に使われるようになったのはそんなに遠い昔ではないように思う。手元にある古い辞書を見ても「癒す」はあるが「癒し」では掲載されていない。経済情勢や雇用形態の変化、地域社会の繋がりの希薄化、少子高齢化などの社会構造の変化により、ストレスを抱えやすい社会となり、「癒し」という言葉が生まれたのだろうか。いずれにせよ、この時代、「癒し」を求めている人が多く存在することは確かなのだろう。
「癒し」といえば、いささか話が強引ではあるが、我が故郷の愛媛県において「えひめ南予いやし博2012」*というイベントが開催されている。愛媛県南予地方には、複雑な入り江を抱く宇和海、南予アルプスと呼ばれる鬼ケ城山系、清流四万十川の源流となる清流と渓谷など魅力ある多くの自然がある。また、訪れた方々を温かくもてなすお遍路の文化がある。これらの「自然とのふれあい」、「地元の方々との交流」などを通じて、癒され、心身ともに元気になってもらおうというイベントである。「癒し」を必要としている人、自然とのふれあいを体験してみたい人、等々、このイベントに参加してみては如何でしょうか。
*えひめ南予いやし博2012 開催期間 平成24年4月22日~11月4日 >>公式サイト
(2012/7/13 掲載)