[室町紀行 第十話] 日本百名山完登を目指して | 西日本シティ銀行 東京事務所 貴戸 俊博 氏
四十歳を過ぎて、健康のため夫婦で山登りを始めました。東京事務所勤務になるまでは九州の山ばかり登っていましたが、せっかく東京に居るのだから日本百名山に挑戦してみようという事になり、現在も完登に向けて挑戦を続けているところです。
百名山に数えられる山々は登山道がよく整備されており、ある程度の脚力と登山に関する基礎的な知識があれば、ロッククライミングのような特別な技術が無くても登ることは可能だろうと思います。百名山は日本中に点在していますが、その多くは日本アルプスから東側にあり(関西以西には11座しかない)、標高の高い山や北日本に位置する山も多く、一年を通じて登ることができるわけではないため、私の場合、主に夏山中心の山行になっております。
そうなると現役世代の我々が休日を利用して完登するには、かなり計画的に行動する必要があり、百名山の"はしご登山"や日本アルプス等では縦走登山をしながら登頂数を稼ぐことになります。登頂に向け山行計画を考える段階は楽しく、その時期の自分の体力や登山に必要な装備、各地の名物や下山後の温泉等々、様々なことを調査して夫婦で話し合いながら決めていきます。そうやって作った山行計画であるにもかかわらず、なぜか実際に現地を歩いてみると、"あちらの登山コースの方が良かったのでは?"とか、"あの隣の山にも行ってみれば良かった"等、後悔の念が頭をもたげることが多くなってまいりました。
最近は早く百名山を完登したいという気持ちがますます強くなってきていることを自覚しています。と言うのも、百名山の完登を目指しているため、山行計画は登頂を目的として立てざるを得ず、半ば義務感に駆られたような山行は各地の名山が持つ魅力的な部分に触れる機会を犠牲にしてしまっているようで、"早く百名山から開放されたい"と思っているからかもしれません。
我が家の【山ノ神】の賛同が得られるかどうかわかりませんが、私個人としては、早く百名山の完登を果たし、その後は自分なりの名山を探しながら、ピークハントに拘泥せず色々な発見を求めて歩くことで、もっと充実した山歩きを体感したいと考えている今日この頃です。
(2012/12/04 掲載)