「お客さまとともに、地域の未来を創造する銀行」を目指して
~フードセレクションを通して、佐賀県の素晴らしい商品を全国に~
セミナー開催のきっかけは、商談会のサポートをしていたときのとある出展社の方の一言でした。出展社と一緒にバイヤーの呼び込みをすべく、ブースの前を通る方に試食を提供していたのですが、商談会の経験豊富な出展社の方から「試食はみんなに配るものではないんですよ」「私たちが希望する販売先(バイヤー)はどこか知っていますか?」と言われて驚き、その質問に答えを返すことができませんでした。それは今思うと、出展社とのコミュニケーション不足であり、担当者に対しての不満だったのかも知れません。私は「どのようにすれば、出展社が満足していただけるのか」を考えました。そこで、銀行もせっかく多くの行員を派遣して商談会を盛り上げようとするのであれば、出展社、行員ともにしっかりとした知識を身につけて商談会に参加しようと思い、セミナー「さぎん食品商談会基礎講座」を開催することになりました。
昨年開催したセミナーのうち、特に評判が良かったテーマは「商談ブースの作り方」です。セミナーでは模擬の商談ブースを作り、私がバイヤー役となってブースの前を歩くことで、参加者と一緒にバイヤーがどこを見るのかを考えました。そこでわかったことは「一目見て、何をやっている会社かわかるブース作り」が大切だということでした。また、商談会に初めて出展する事業者には、事前にブース作りのシミュレーションまでするなどして、サポートを徹底していますので、今ではブース作りはどの金融機関にも負けない自信があります。
フードセレクションの出展社の中には、自治体や商工会からの補助金で出展費用を賄っている事業者も多くいらっしゃると思います。私は、以前から補助金を出していただくからには、自治体や商工会の方々にもぜひフードセレクションを知ってもらいたいと思っていました。そこで、自治体の職員や商工会の経営指導員の方々に「ぜひフードセレクションに参加してください」とお願いし、ご参加いただいたところ、現場を見ていただいた方々には大変好評で効果は抜群でした。
今となっては、自治体や商工会の方々にもフードセレクションの出展社募集にご協力いただき、商談会では出展社を一緒にサポートする厚い信頼関係が築けています。出展社にとって、主催銀行だけではなく、自治体、商工会の方々がサポートしてくれることはとても心強いと思います。
銀行が商談会への参加可否を線引きしないことも大切だと考えています。商談会に参加するかしないかは、銀行員が決めることではなく、事業者が決めることだと思います。例えば、販路開拓を目指すには時期尚早と思う事業者であっても、事業者が商談会に参加したいというのであれば、私たちは事業者の意思を尊重します。
私たちの役割は、商談会に参加する事業者を全面的にバックアップすることです。そのため、事業者によっては将来の販路開拓に向けた勉強として商談会に参加していただくケースもありますが、私たちは「必ず目的をもって商談会に出てください」とお伝えしています。また、商談会に参加するからには、銀行が主催するセミナーにも参加してもらうようにしています。結果的には、商談会に参加して辛い経験をする事業者もいるかもしれませんが、辛いことを含め、全てが経験であり、それを乗り越えて販路開拓に繋げていくために銀行がどのようにサポートするかが重要だと考え、日々事業者のサポートに励んでいます。
このようなフードセレクションでのサポートをきっかけに銀行取引を拡充し、佐賀銀行がメインになった取引先も存在します。例えば、フードセレクションを通して取引関係が深まり、取引先の工場新設時に従来のメイン銀行ではなく、当行で設備資金を対応できた事例があります。販路開拓という本業支援を通して、取引先と一緒にビジネスプランを考える機会が増え、取引先との接点が増えた結果、工場新設という情報をいち早くキャッチし、物件情報の提供から工場新設資金までのトータルコーディネートをすることができました。
当行では商談会の場の提供のみならず、自治体や商工会、外部機関および出展社間の人脈作りといった部分もとても大切にしています。銀行がどのようなサポートをすれば、出展社に満足していただけて、より多くの成約に結びつけることができるのか、フードセレクションを通して日々考えています。私たち佐賀銀行の役割は、佐賀県の素晴らしい商品を全国に発信し、地方を元気にしていくことです。
取材日:平成30年1月23日