TOP > 記事・コラム > 香川県さぬき市のまちづくり「守る、つなぐ、進化する!」

さぬき市長 大山 茂樹 氏

大山 茂樹 (おおやま しげき)
昭和25年9月生まれ。さぬき市津田町津田在住。昭和50年3月、京都大学法学部卒。昭和50 年4月、香川県庁に入庁後、長寿社会対策課長、人事課長、商工労働部次長、農政水産部長を歴任。平成18年2月、 香川県庁を退職。
平成18年5月、さぬき市長に就任。現在4期目。
自然や歴史的観光資源に恵まれた地

(澁谷)

香川県さぬき市について、お聞かせください。

(大山市長)

さぬき市は平成14年4月1日に、5つの町(津田町、大川町、志しど度町、寒さんがわ川町、長尾町)が合併して誕生しました。香川県の東部に位置し、県都高松市の中心部まで約15km、大阪市や広島市からは高速バスで約2時間半の距離にあります。香川県内の市町では4 番目の 広さを誇り、北は風光明媚な瀬戸内海国立公園に面し、中央部には大小のため池が美しい田園風景を形成しているほか、南は緑豊かな讃岐山脈の山間部となっており、自然環境に恵まれています。

また、国史跡に指定されている富田茶臼山古墳、津田古墳群など多くの古墳をはじめ、四国霊場88ヵ所の上がり3ヶ寺(志度寺、長尾寺、大窪寺)を有するほか、江戸時代の偉人、平賀源内を輩出した土地柄など、歴史的観光資源に恵まれていることも魅力の一つです。

全国初の天体望遠鏡博物館

(澁谷)

地域活性化に対する取組みについて、お聞かせください。

(大山市長)

自然環境や歴史的観光資源を活かし、地元の人たちが誇れるまちづくりを目指しています。平成28年の3月には、四国霊場88ヵ所の第八十八番札所、大窪寺がある多和地区で、小学校の跡地に全国初の天体望遠鏡博物館をオープンさせました。日銀の高松支店長を務められた村山昇作さんを中心に県内外の天体愛好家から、さぬき市と地域住民へ提案があり、多和地区の活性化を目指して、地域一体で開館準備に取り掛かりました。教室内の黒板を残すなど、地元住民が通い親しんだ閉校前の姿をそのままに、館内には全国各地の天文台などで活躍した望遠鏡が約300台展示され、なかには100年以上前の望遠鏡もあります。さぬき市自慢の施設で、さぬき市を訪れる方々にはぜひとも寄っていただきたい場所の一つです。

「質」で勝てる産業を応援

(澁谷)

まちづくり、地域の産業育成について、お聞かせください。

(大山市長)

さぬき市では、市民の命と暮らしを「守る」、人と人、過去と未来を「つなぐ」、そして、改革と創造で「進化する」の「守る つなぐ 進化する」をまちづくりの基本理念としています。その上で、市の最重要課題である人口減少対策の一つとして、先ずは「働く場をつくる」ために、観光などのサービス業だけではなく、地元の製造業をしっかり育てたいと考えています。

例えば、さぬき市には「徳武産業」というオーダーメイドのシューズメーカーがありますが、同社は高齢者が躓き、転倒する原因をヒントに試行錯誤を重ね、左右のサイズ調整までするなど、一人ひとりに合ったオリジナル靴を製造するメーカーです。オーダーメイドのケアシューズを製造すると周囲に打ち明けた当初は、賛同はおろか、相手にもされないような状況だったそうですが、今では年間100万足のオリジナル靴を製造する地元の代表企業になりました。徳武産業のような「量ではなく、質で勝てる産業」を応援し、更なる地域活性化に繋げていきたいと考えています。

地域にあるもので使い道を考える

(澁谷)

近年、再生可能エネルギーに対する取組みが画期的になる中、さぬき市ではため池を活用した水上発電にも複数取り組まれていますが、水上発電や地域資源に対するお考えについてお聞かせください。

(大山市長)

東日本大震災の発生以降、電力エネルギーの逼迫等により太陽光発電が脚光を浴び、今や全国各地で再生可能エネルギー普及の取組みが進められていますが、さぬき市としても、それまでため池を活用した水上発電の経験はありませんでしたので、色々なことを想定しながら対応しました。行政の役割として、新たな取組みを民間に任せっきりにするのではなく、新たに踏み出すときには民間の取組みをしっかりサポートし、一つの目標に向かって互いに切磋琢磨していくことが大切であり、さぬき市にあるもので使い道を考え、自分たちができることに取り組んでいきたいと考えています。

取材日:平成30年8月17日

※金融機関ドットヨム34号12ページに記事が掲載されています。